慢性膵炎ノート

明るく!慢性膵炎生活

膵臓のしくみと酵素(その3)

アミラーゼ

 この酵素は膵臓の状態を示す指標として最も一般的です。その理由は、

①膵臓で作られる酵素には、初めからその酵素のままで分泌されるものと、初めは「酵素の元」のような状態で分泌され、十二指腸など膵臓外へ出て、そこで別の分泌物と化学的に反応することによって初めて効力を発揮するものとがあるが、アミラーゼは初めからアミラーゼとして作られる酵素なので測定がしやすい。

②採取したアミラーゼは室温で長時間放置しても(実際にはすぐに測定しているようですが)数値の増減があまりないので扱いやすい。

というものです。
そういう理由から職場などの健康診断では多用される指標です。
この酵素の働きですが、既述のように、ごはんなどの穀類や砂糖に多く含まれる炭水化物(「糖類」)を消化する働きがあります。
 そんな便利な酵素アミラーゼですが、実はアミラーゼを分泌する部位が膵臓だけではないということが、ちょっと複雑なところです。膵臓の他に唾液腺からも分泌されます。(他に肝臓や腎臓からも分泌されるそうですが、問題になることはありません。)膵臓から放出されるアミラーゼと唾液腺からのものでは分子構造が違うそうです。そこで膵臓由来のアミラーゼを「Pアミラーゼ」、唾液由来を「Sアミラーゼ」として区別しています。健康診断でアミラーゼ値という時はPアミラーゼとSアミラーゼの両方を足したものの場合が多いようです。ですから「アミラーゼ値が高い」といっても、それがただちに膵臓の異常を意味するとは限りません。もしSアミラーゼの方が高ければ別の疾病の可能性があるからです。
基準値(正常値)は血清アミラーゼ(血中のアミラーゼ)で、

PとSの両方だと大体80~240IU/l(インターナショナルユニット・パー・リットル)、

Pアミラーゼだけだと大体40~110IU/l くらいです。

ただし測定法もいくつかあり基準値も検査機関によって異なるようです。

急性膵炎や慢性膵炎の増悪期には、この数字が何千という値まで跳ね上がります。
アミラーゼの生成場所は唾液腺や膵臓などでしたが、アミラーゼの測定場所も血液中の他に尿中があります。(「尿中アミラーゼ」、「尿アミラーゼ」などと呼ばれています。そのままですが。)。
尿中アミラーゼの正常値は、

PとSの両方で100~1000くらいです。

だいぶ幅がありますね。
血清アミラーゼと尿中アミラーゼの違いですが、血清アミラーゼは上昇も速いが低下も速く、尿中アミラーゼは血清アミラーゼより遅れて上昇し、高い期間もやや長いという傾向があります。
膵臓の検査で両方測ったら尿中アミラーゼだけが高いということがあるようです。それは血中アミラーゼだけが落ち着いて、尿中アミラーゼにはまだ異常が残っている状態であるということかもしれません。
しかし、尿中アミラーゼよりもさらに異常が持続するのが次のトリプシンやリパーゼです。
アミラーゼと検査についての解説サイト①
アミラーゼと検査についての解説サイト②

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