慢性膵炎ノート

明るく!慢性膵炎生活

慢性膵炎と診断されたら(1/6ページ)

  このサイトを訪れられた方の中には、初めて「慢性膵炎」という診断を受けられた方もいらっしゃると思います。私自身の経験からすると診断当初は、「一体この病気は何なんだろう」とか「この先どうなるのだろう」という強い不安を覚えるのではないかと察します。この病気は私のような慢性膵炎疑診の方まで範囲を広げると、症状における個人差が大きいため、治療法や予後について、はっきりこうなる、とは言えない部分が多いのではないでしょうか。しかし、大体において今後はこういう治療展開が考えられるとか、こういうことに気をつけるべきである、というようなことはあります。
ここでは、初めて慢性膵炎という診断を受けられた方を想定して、今後のおよその方向性や注意すべきことについてまとめています。

内科的治療(薬物療法)

  膵炎という診断が確定する、あるいは膵炎である可能性が高いという診断がされると大抵の場合日常生活についての指導(後述)と薬物療法が施されます。代表的な薬は「蛋白分解酵素阻害剤(たんぱく ぶんかいこうそ そがいざい)」と呼ばれるもので製品名では「フオイパン」が代表格です。この薬はタンパク質を消化する酵素の働きを抑えます。タンパク質を消化する酵素は「キー酵素」となって他の酵素にも影響を及ぼし、膵炎の症状を引き起こす引き金的酵素であるからのようです。
  フオイパンはあまり劇的に効くというものではないようですが、個人的にも他の患者さんからの話からも長期的には着実な効果があるような印象を受けます。
  また、胃酸の発生も膵液の分泌を促すことにつながりますので、胃酸の発生を抑制する薬、例えば「H2ブロッカー」(代表薬「ガスター」)と呼ばれる薬なども一緒に処方されることも多いようです。
  さらに、膵臓や十二指腸から分泌される消化酵素が少なくて済むように、消化酵素そのものを薬の形で体内に投入し、膵臓そのものの働きを助けるという膵消化酵素補充剤が用いられることもあります。この薬の代表格は長いあいだ「ベリチーム」や「タフマックE」という名のものでしたが、2011年の夏になってそれまで外国でのみ処方されていた強力な補充剤が日本でも処方されるようになりました。「リパクレオン」という名前です。多少薬価が高いようですが、それまでの膵消化酵素補充剤よりは相当効果も高いようです。ジェネリックは2012年の秋現在まだ出ていません。   
  以上は内服薬ですが、膵炎には点滴薬もあります。ただ、点滴は非常に強い痛みが続く時期(「増悪期(ぞうあくき)」という呼ぶようです)や、膵臓の手術時に用いられることが多いと思います。こちらは内服薬よりも多少即効性が期待できるようです。具体名としては「ミラクリッド」「FOY(エフ・オー・ワイ)」「フサン」というものが有名です。
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