慢性膵炎ノート

明るく!慢性膵炎生活

慢性膵炎の症状(その1)

<上腹部痛>

  上腹部の痛みは慢性膵炎の最も一般的な症状だそうです。上腹部とは「腹のへそより上の部分」(大辞林)ということで、かなり広い範囲を指すようです。(上腹部の反意語が下腹部で、ヘソより下の部分ですね。)膵臓自体は胃の裏にあり、上腹部でもやや上にあるのですが、痛みは膵臓の部分だけでなく様々に飛び火する感じがします。膵臓付近には非常に多くの神経が通っていることが原因のようです。また、痛みの種類や程度も時や場合により変化します。良い時は、ただなんとなく胸のあたりが「張った」ような感じですが、やや悪い時は心臓のあたりの一点がキリキリと痛む感じになったり、またさらに悪くなると、膵臓全体が破裂するのではないかというような強烈な痛みの時もあります(痛みが強い時は前かがみになってエビのような体勢になると和らぐと言われています。私の場合は効果がありませんでしたが)。私は、本当に調子が良い時はほぼ無痛でいられますが、多くは、鳩尾(みぞおち)のやや左側の奥(位置的には心臓あたりの感覚です)がぼーっと痛いという状態です。食べすきたり、脂っこいものを口にしたりするとその痛みが強くなります。またさらに増悪期になると、ここと言わずあそこと言わず、とにかくお腹から背中にかけて様々な場所が痛くなります。そういう時は、一日のうちでも痛みの場所が刻々と変わっていきます。
   上腹部の痛みが何をきっかけに起こるかということですが、膵臓が膵液を分泌することで起こるので、食事と最も関係があります。食事の後に決まって腹部が痛む、という場合には胃はもちろんですが、ひょっとしたら膵臓が関係している可能性があります。特に「アルコール」あるいは「脂質」の摂取と痛みがリンクする場合には膵臓の可能性は高まると思われます。慢性膵炎は最近では「アルコール性」と「非アルコール性」に大別されていますが、それくらいアルコールとのつながりが強い病気です。私の場合は膵炎(疑診)の症状が始まってから基本的に修行僧かと思えるほどの禁酒生活を送っていますが、10年以上経った現在(2012年)でも、少しでも、たとえばたった一口ビールを口にする、という程度でも、その日の夜あるいは翌朝から膵臓付近全体が重く痛む感覚が数時間は続きます。
  脂質については、ほかの栄養素と比べて消化しにくい成分のようで、それだけ膵臓に負担をかけ、消化にも時間がかかるようです。したがって、脂っこい食事を食べて数時間後に痛む、たとえば夜に脂質を摂ると翌朝調子が悪くなるというような場合も膵臓の可能性がありえます。
   アルコールは膵炎には絶対に禁忌の食品ですが、脂質もそれに次ぐ禁忌品目です。しかし、逆に言えば、この両者の摂取を控えることで膵臓が徐々に落ちついていき、痛みも軽減されるということが多いようです。アルコールはまったく摂取しなくても栄養学的には生きていけますが、脂質はゼロというわけにはいきませんので、摂取量を少なめにするということになりますが、膵炎患者に医者が勧める一日の脂質の量は30g~40gです。
   ちなみに、アルコールと脂質という膵臓に特に負担である食品を同時に摂ると、たとえば宴会で中華料理を食べながら生ビールをぐいぐいやる、というようなことをすると膵臓に急激で甚大な負荷を与え、急性膵炎という重大な病気になることがあります。急性膵炎では突然の内臓の激痛で転がり回って救急車で病院へ運ばれるということになり、悪くすると亡くなってしまうこともありえます。
   また、アルコールと脂質以外にも香辛料やカフェインといった刺激物も痛みを誘発する場合があります。そのほか炭水化物もダメという方もおられます。アルコールや脂質以外でどういう食品が痛みにつながるかということについては個人差が大きいようです。

arrow  前ページ          次ページ  arrow