慢性膵炎ノート

明るく!慢性膵炎生活

慢性膵炎体験談

渕浪さん   (2011年3月)
 
<概要>
  はじめまして、渕浪敏明と申します。千葉県在住の61歳男性です。私は膵石を有する慢性膵炎を病名に持つ患者です。慢性膵炎ノートのページは1年前からよく訪れていて、勉強させてもらっていまして、早く自分の体験記も報告しなければと思っていたのですが、昨年6回も緊急入院を繰り返していましたので、やっと今投稿することができるようになりました。  病歴を簡単にまとめますと、5年前に急に激しい腹痛を覚え救急車で緊急入院すると、急性膵炎の症状だと言われ、40日間入院しました。最初の2週間は、もう痛くて痛くて死にそうでした。家族が1週間後に呼ばれて、命の危険があると主治医の先生から言われていたそうです。幸いにも何とか快方に向い、痛みが少なくなってからは、お腹にガスがたまり苦しくてたまりませんでした。点滴がすべてなくなり、食事が開始されてからは、快適な入院生活を過ごせました。このときの病名は「慢性膵炎の急性増悪」です。なおこの入院時にエコー検査で胆嚢にも多くの石があることがわかっていたのですが、今まで一度も胆嚢が痛くなったことがないので、胆嚢の石はサイレントストーンだと安心していました。 
 
  退院してからは、薬も飲まず、定期的な血液検査、エコー検査だけで、問題なく4年間健康な生活を送っていたのです。ちなみに、私の場合は膵石が膵臓にありますが、5年前に一度だけ悪さをした以外には、今まで一度も痛くなったことがないのです。アルコールの習慣は5年前の発病までは、毎日缶ビールを一本飲む程度でしたので、先生からは非アルコール性の膵炎だと言われております。5年前の発病後はアルコールを禁止にしていますが、食べた後でも一度も痛くなることもなかったのです。
 
    ところが、昨年還暦を迎えると同時に4回も突発で腹痛が発生し緊急入院してしまいました。1度目は昨年4月に胆嚢の石が胆嚢を詰まらせて胆嚢炎で1週間入院。このとき膵臓ガンの腫瘍マーカーDupan-2の値が490(正常値は150以下)なので、膵臓ガンの疑いがあるので、大学病院に診察してもらうことになった。胆嚢炎が治ってから大学病院でもう一度検査をしたところ、Dupan-2は490から230に下がっていた。ガンならば下がることはないので、胆嚢炎で上がっていたものと判断でき安心した。2度目は昨年7月にまた胆嚢の石が胆嚢を詰まらせて胆嚢炎で1週間入院。2度目ではっきりと胆嚢が悪いと証明されたので、すぐに胆嚢摘出手術を予約したのですが、9月まで待たされます。2度目の胆嚢炎退院後に脂ものの食事の後に3時間ほど腹痛がたびたびあり、病院で見てもらったところ肝臓のGOT、GPTの値が上昇していて、原因は石が総胆管に詰まっているらしいということで3度目の入院を7月後半にしました。手術は内視鏡を口から飲んで十二指腸入り口の総胆管の乳頭部を切開して詰まった石を落として除去する簡単な手術です。これも1週間の入院。4度目は昨年8月に膵石が総胆管に詰まって軽い膵炎を起こして入院。このときはERCPをして、内視鏡的乳頭切開をまた行いました。手術まではお腹がいたくたくさん吐いていたのですが、手術後ケロっと痛みがなくなったのには驚きました。で、膵臓の石が悪さをした証拠ができたので、9月に胆嚢摘出手術をした後の10月に、衝撃波を膵菅にある膵石にあてて砕き内視鏡で除去する膵石除去手術をすることになりました。
 
    9月になり胆嚢摘出手術で11日間入院しました。全身麻酔で、最初は腹腔鏡手術から開始したが、胆嚢と肝臓がくっついていて開腹手術に変更。手術時間=3時間。肝臓から大量出血(1リットル)があり、その止血に手間取ったそうです。1リットルなので、輸血は無しでした。手術翌日から院内を歩き、歩けば歩くほど傷の回復が手にとるようにわかるのには驚きました。それで、予定通りの退院です。病棟では、こんなに元気な手術した患者さんは珍しいといわれたりしました。
 
  10月には膵石除去手術で11日間入院しました。最初に造影ERCPを行って、膵菅にある石の位置を詳細に把握します。次に衝撃波をあてて膵石を砕く(役1時間)<EWCLといいます>のを週に2日を3週ほど行い、最後に内視鏡で石を除去する予定でした。1回目にEWCLしたとき、機械の故障で失敗し、別の日にもう一度1回目のEWCLを実施しました。ところが、私の膵石は多くてかつ硬く、ほとんど砕けなかったそうです。それで、主治医はあきらめて、このまま石は置いておきましょう。そおーっと大事にして墓場まで持っていってください、とのことでした。ということで、予定では1ヶ月ぐらい入院するはずでしたが、11日間で退院することになりました。
 
  以上が昨年6回も入退院した事情です。退院後の食生活は、アルコールビールとノンアルコールビールを週に1回(中ジョッキ1杯)まで許可していただき、脂っこいものを控えるようにしています。体重も70kg(太りすぎです)あったのが手術のせいで5kgやせ、現在は65kgで安定しています。退院後、腹痛は全くありません。
 

<入院履歴>
 
<慢性膵炎の急性増悪入院>
(2006年―40日入院)
<1日目>
昼に生ビールとラーメン大盛を食べ、その後サウナに2度入ってから休憩ルームでコーラを飲んでいると、お腹の奥で鈍痛があり、しだいに激しくなり床に寝転んだ。救急車を呼んでもらい(救急車の中では何度も吐いた。最低限の会話がやっとできる。)、近くの町医者に運ばれる(地域の基幹病院にとお願いするが、断られる)。超音波や血液検査で「急性膵炎」と診断され、地域の基幹病院にまた救急車で転送される。膵液酵素非活性薬と抗生剤、水分などを点滴され、痛み止めも注射してもらった。痛くてたまらないが、痛み止めが少しきいていて数時間眠る。(アミラーゼ=1703)
 
<2-4日目>
 苦しい、お腹もはってきて圧迫感がある。腸が張って苦しい、大便にトライし、少しだけ出る。主治医からは膵炎の副作用として腸閉塞も考えられるので様子を見ようとのこと。 (アミラーゼ=723(2日目)、752(3日目)、390(4日目) )
 
<5日目>
 家族がよばれ、主治医から説明を受ける。このとき、主治医はアミラーゼが増えてはいないが高止まりしている、命の危険もありうると家族には伝えていたとのことを、あとから聞いた。
 
<6-10日目>
 毎日痛いが、痛み止めをしながらなんとか頑張る。10日目には浣腸して便が出た。
 
<11日目>
 血液検査の結果で9日目から11日目の変化で明らかな減少が見られたので、危機を脱出し、これから快方に向うだろうとの説明を受けた(CRPの値が16.24から9.39に変化したことと自分は推測)。
 
<13日目>
 点滴を腕から行っていたのを股からカテーテルを中心静脈ラインに挿入して行う方式に変更するための簡単なオペを実施。
 
<20日目>
 膵炎の炎症が昨日陰性化した。これから点滴も少しずつ減らしていくとのこと。
 
<24日目>
 今日から流動食を開始。うれしい。
 
<25日目>
 尿道カテーテルを外した。また中心静脈ラインカテーテルも取り外した(食事開始したので)。
 
<28日目>
 入院中初めて自力で便が出た。
 
<29日目>
 初めてのお風呂、気持ちよかった。
 
<38日目>
 主治医から病状の説明を受けた。膵石を有する慢性膵炎が自分の病名で、今回の入院は「慢性膵炎の急性増悪」の症状で急性膵炎と同様で危険であったとのこと。
 
<40日目>
 退院。
 
<胆嚢炎入院(2010.4.3―4.10)>
<1日目>
前日夕食後(23時頃)、妻の誕生日祝いのケーキを2個も食べた。すぐに寝たが1時半頃急に腹痛で目が覚める。痛くて寝られず、朝一番に緊急入院。エコー、造影CT、血液検査の結果、アミラーゼは正常、白血球=17,000なので、胆嚢炎または膵炎のどちらかだろうということで、しばらく様子を見ることに。体温は37.5-38.4度である。
 
<2日目>
 お腹の痛みはなくなったが、体温は以前38度が続く。白血球=19,000。
 
<4日目>
 体温は平熱に戻る。内視鏡エコー検査するが、胆嚢・膵臓とも異常は認められない。夕食から食事開始(流動食)。
 
<6日目>
 白血球は正常になる。明日から通常食。
 
<8日目>
 退院。主治医の先生から説明を受ける。病名は胆嚢炎と膵炎と両方とも考えられ、難しいが6:4の割合で胆嚢炎ということにしておきましょう、とのこと。(後に7月また緊急入院し、それが胆石が悪さをした胆嚢炎だったので、今回も胆嚢炎だったと推定された。) 血液の腫瘍検査でDupan-2の値が490(正常値は150以下)なので、膵臓ガンの疑いがあるので、大学病院に診察してもらうことになった。
 
<2010/5/20>
大学病院で診察。エコー検査(問題なし)。2010/4/30血液検査での腫瘍マーカーDupan-2は490から230に下がっていた。胆嚢炎で上がっていたものと思われるので、ガンではないとのことで安心した。
 
<胆嚢炎入院(2010.7.2―7.10)>
<1日目>
東京での仕事が終わる頃急にお腹が痛くなり、帰宅電車のなかで寝転んで君津駅まで直行。救急外来で入院。当初は膵臓も胆嚢もどちらも大きな異常が認められないとのこと。ただ、その後の経過は3ヶ月前の胆嚢炎入院と全く同じ経過をたどる。
 
<5日目>
エコー検査で胆嚢炎が判明。今後早急に胆嚢摘出手術の準備に入る。7/9には胆嚢造影CT、胃カメラの検査を実施。
 
<9日目>
 退院。
 
<総胆管結石除去手術入院(2010.7.22―7.27)>
 
<1日目>
総胆管に石が出てきて総胆管が詰まり腹痛になったようだ。血液検査で肝臓のGOTなどが急激に増加している。よく見るとビリスコピンCTの画像の総胆管に石が見える。まだ胆管炎にはなっていないようなので(白血球が正常)早めに内視鏡で総胆管の石を取ったほうがいい。胆管炎になると、入院が長くなる。即入院して、明日手術してもらうことにした。
 
<2日目>
内視鏡的乳頭切開手術でバルーン処置で総胆管の石を取り出す(眠っている間に1時間で修了)。その後腹部に鈍痛が継続し21時頃痛み止め点滴で楽になり、翌朝は痛みがなくなる。
 
<5日目>
血液検査で肝臓データが回復しているので、明日退院。昼から食事開始。
 
<6日目>  退院。
 
<総胆管膵石除去手術入院(2010.8.20―8.24)>
<1日目>
22時頃夕食中(うどん、塩コブ)にお腹が急に痛くなり、すぐに病院へ。アミラーゼが1200超で膵炎を起こしている。造影を見ると胆管出口に石が詰まっていて、これが膵炎の原因だ。この石が胆のうから出たものか膵臓から出たものかは不明。2度目の痛み止め点滴で痛みが和らぐ。
 
<2日目>
朝ものすごく吐く。すぐにERCP&総胆管膵石除去手術(内視鏡的)をする<今回は膵菅にも造影剤をいれて調べた。前回は胆管のみ造影。また今回も乳頭部を切り広げて石を落ちやすくしている。>。眠りが浅く、痛かったが意識があり、手術の様子がよくわかる。手術後少し吐いたが、痛みが完全になくなった。
 
<4日目>
昼から食事開始(全粥)。石は膵臓の膵菅の石がでてきたものと判明。今後、胆のう摘出手術後、3周から4週入院して膵臓の膵菅の石を衝撃波で砕いて摘出する手術をすることになった。
 
<5日目>
 退院。
 
<胆嚢摘出手術入院(2010.9.22―10.2)>
<3日目>(手術日)
はじめ腹腔鏡手術から開始したが、胆嚢と肝臓がくっついていて開腹手術に変更。手術時間=3時間。肝臓から大量出血(1リットル)があり、その止血に手間取る。全身麻酔。術後、胃の管はすぐにはずしてもらう。
 
<4日目>(手術後1日目)
院内病棟1周歩く。
 
<5日目>(手術後2日目)
院内病棟3周歩く。食事開始。
 
<6日目>(手術後3日目)
背中の痛み止めをはずす。階段を上下歩く。
 
<10日目>(手術後7日目)
 抜糸。
 
<11日目>(手術後8日目)
 退院。便秘でずっと便が出ず、退院日にやっと浣腸をしてもらい、ようやく便が出て気持ちよくなった。
 
<膵石除去手術入院(2010.10.7―10.17)>
<2日目>
造影剤を注入し、ERCP検査で石の場所を特定。
 
<6日目>
EWCL(衝撃波で膵石を砕く)手術(約1時間、2500発当てる)するも、失敗(原因は機械の故障)。
 
<9日目>
EWCL手術を再度実施するも、膵石が硬く砕けない。そのため、EWCL手術をあきらめて、このまま退院することになった。方針は、膵石をそっとしておいて、墓場まで持っていく。
 
<11日目>
 退院。
 
    

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