慢性膵炎ノート

明るく!慢性膵炎生活

慢性膵炎体験談

takeさん(その2)   (2007年7月)
 
提供内容 ; 「体外衝撃波による膵石破砕(ESWL)」
提供日  ; 2007年(平成19年)7月22日(日曜日)
作成者  ; take

「体外衝撃波による膵石破砕(ESWL)」

1 「入院(処置)歴」の提供にあたって
私と同じように、「膵石症」の診断を受け、これから、「体外衝撃波の破砕術」を受けられる方に少しでも参考になればと思い、「施術の状況」を提供させていただきます。
一人ひとりの病状は異なりますし、主治医の方針によること等、諸般の状況から、参考になるかどうかは分かりませんが、「膵石症」で悩んでおられる方の少しばかりの一助になれば、と思って投稿させていただきます。

2 状況
本年(2007年)に入り、2月に14日間、3月から5月にかけて50日間余り、そして今回、5月の下旬から「本年3回目」の入院となる。
 今年1回目、2回目の「退院」の際には、どれだけ「蛋白分解酵素阻害剤(FOY・ミラクリッド)」を点滴等しても、血清アミラーゼ数値は、「300~400」から低下せず横ばい。
 3回目の入院時に至っては、血清アミラーゼ数値は「1200」前後を維持したままで、沈静化せず、「膵石除去」の根本治療を目的に転院する。

3 「体外衝撃波による膵石破砕(ESWL)」
事前準備
EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)と主膵管への「ステント」挿入
「主膵管」への「ステント」挿入のため、EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)を行う。
 ※ 「ステント」挿入の目的
「体外衝撃波による膵石破砕(ESWL)」を行う際には、「単純レントゲン」に「膵石」の画像が映し出されることが必須条件なのですが、私の場合、「レントゲン」にはっきりとした「膵石画像」が映し出されなかったことから、衝撃波の「照準」を合わせ易くするため事前に「膵管ステント」を挿入しておくこととなりました。(挿入したステントを「目印」に衝撃波を施術。)
 ※ ステント挿入は、ERCPにより、EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)を受けた後となります。
主治医によれば、
 ○ 「乳頭括約筋切開」は、関西が主流。
 ○ 「乳頭バルーン拡張術」は、関東が主流
とのことで、「乳頭バルーン拡張術」は直接切開をしないため聞こえは良いが、術後の経過が思わしくない場合が往々にして散見され、バルーン拡張した乳頭部が元に戻らないことが有る、とのことでした。
(私としては、選択する余地もなく、「切開」してもらうしか有りませんでした。)
 ※ 「乳頭括約筋切開」は、ERCP時、大腿部等に「電極」を付けて、「電気メス」にて施術を受けましたが、施術時は、鎮静剤の効果もあり、全く痛みは感じないうちに終了。ただ、同時に「ステント」挿入の処置を受けたため、当然、膵炎の増悪からは逃れられず、「切開」の痛みか、「ステント」挿入の痛みか判然とせず、膵炎の腹痛からは逃れられませんでした。
 ※ 「ステント」挿入前後、その都度、回復まで約7日を要した。
~ その間は、いずれの処置も行えなかった。

【ESWL(体外衝撃波による膵石破砕)】
入院中、「延べ3回・計9,000発」の衝撃波の施術を受けました。
ア 施術
 1回当たり、約1時間・3,000発。
イ 鎮痛剤等
・施術前 ~ 念のため、「インテバン座薬」(50㎎)
・ 施術中 ~ 「ソセゴン」を2回~3回に分けて静注。
しかし、鎮痛剤等の事前・施術中投与を受けていても、無痛状態は、最初の100発程度で、以後、1発ごとに「内臓を刺すような刺激(痛み)」が継続する。(ただただ、1発ごとの「刺すような痛み」に耐えるだけ・・・。)

【「膵石除去」のための「ERCP(内視鏡的胆膵管造影)」】
ア 目的
 ESWL(体外衝撃波による膵石破砕)の結果を確認するため。
イ 手順
主膵管に留置している「膵管ステント」を一旦抜き去り、処置器具のバスケット鉗子等により 膵石を除去。その後、造影剤の膵管注入により、
・ 「主膵管の狭窄」
・ 「今回、破砕した膵石以外で主膵管の閉塞を伴うような「新たな膵石」の有無の確認」、 を行う。
ウ 結果
・主膵管の「膵石」は、完全に破砕されて流出(消失)。
  ~ バスケット鉗子を使用し、除去するまでには至らず。
・膵尾部の「嚢胞」も縮小化。
  ~ 「膵石」の除去(消失)により、「膵液の流れ」が改善。
将来的には、「嚢胞」は、枯渇していく見通し。~主治医所見。

4 今後の見通しなど

ア 膵石破砕「再」手術の必要性

 MRCP、造影剤CT、エコー等の検査で、私には、膵頭部・膵尾部に他のたくさんの「膵石」 存在が確認されています。したがって、主膵管に「膵石」が詰まった場合には、膵石破砕の再手術がいずれ必要になる見通しとのことです。(それが、数ヶ月先になるのか数年先になるのかは、分かりません。)

イ 膵石破砕術がうまくいかない場合

丁度、私よりも少し前に入院されていた男性は、今回入院で、6回目・7回目・8回目の破砕術を受けておられましたが、結局、主膵管の「膵石」は完全に破砕されず、症状が安定したことから、一旦、退院を促され、再度、腹痛等の症状が出てくれば再入院するとのことで、施術はうまくいかないまま退院されました。
「膵石」の状態は、一人ひとり個人差があり、必ずしも破砕が成功するとは言えないようです。

ウ 退院時の状態

私の場合、主膵管の「膵石」は除去されたものの、元々の持病「慢性膵炎」があり、血清アミラーゼは「170」程度の高値での退院となりました。主治医によりますと、主膵管の拡張はあるものの、膵液の流れを阻害する「膵石」が無くなったことから、極端な「膵管内圧の上昇」は発生しないであろうとのことで、退院の運びとなりました。
 このような経緯です。「膵石症」で悩んでおられる方の一助となれば幸いです。

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