慢性膵炎ノート

明るく!慢性膵炎生活

慢性膵炎体験談

takeさん (その1)   (2007年5月)
 
提供内容 ; 「慢性膵炎」の「病歴」 ~「膵嚢胞」を疑われました。~
提供日   ; 2007年(平成19年)5月8日(火曜日)
作成者   ; take 
「慢性膵炎」の「病歴」
~ 現代医学では、「膵臓という臓器」そのものの研究が進んでおらず、「急性・慢性膵炎」等を問わず、根本的な治療については、今後の研究と病理解明を待たざるを得ない。 ~

1 「病歴」の提供にあたって
「慢性膵炎」の症状は、人それぞれ「ケース・バイ・ケース」で、その治療方法は、医療機関の治療方針等によっても左右され、多様化してくることと思います。
従いまして、「私の病歴」を提供したところで、同じ病名を持たれた方々に、どれだけ参考にしていただけるのか分かりません。
しかし、人生の長い期間を「膵炎」とともに歩んでいかなければならない「私」と、同じ悩みを抱えておられる方々の一助になればと思い、「病歴」を提供させていただきます。

2 患者データ
○ 47歳、男性
○ 現在の病名  「慢性膵炎」
  ※ 「慢性膵炎」以外の既往症はなし。
  ※ 「自己免疫性膵炎の疑い」は、入院時の検査で「否定」されています。
  ※ 「ピロリ菌」検査も今回、入院時、「陰性」でした。
○ 初診     1998年(平成10年)1月17日
  ※ 受診当初は、「急性膵炎の疑い」でした。
○ 入院歴    7回(ERCPの検査入院(1回)を含む。)
○ 検査値等(患者の平常値)
  ・ 血清アミラーゼ  68(患者個人データの平均値)
  ・ エラスターゼ  135(患者個人データの平均値)
  ※ 病院データによる基準値(参考)
  ・ 血清アミラーゼ     31~106
  ・ 尿アミラーゼ      81~642
  ・ 白血球(WBC) 3,500~9,800
○ 内服薬(2007年(平成19年)5月現在)
  ・ フォイパン錠        6錠/日(毎食後 2錠づつ)
  ・ ベリチーム・カプセル 3カプセル/日(毎食後 1カプセルづづ)
  ・ スパカール錠        3錠/日(毎食後 1錠づつ)
  ・ パリオット錠        1錠/日(朝食後のみ 1錠)
○ 過去に受けた点滴(入院時、外来時を含む。)
  ~ 蛋白分解酵素阻害剤 ~
  ・ FOY(メシル酸ガベキサート製剤・小野薬品)
  ・ ミラクリッド(ウリナスタチン製剤(ヒト尿中から抽出、精製)・持田製薬)
○ 過去に受診した検査(入院時、外来時を含む。)
  ・ エコー(腹部超音波)検査
  ・ 造影剤CT(コンピューター断層撮影)検査
  ・ MRI(Magnetic Resonance Imaging・磁気共鳴画像)検査
  ・ MRCP(磁気共鳴胆道膵管造影)検査
  ・ ERCP(逆行性膵胆管造影)検査

3 受診経過
○ 発症から初診まで
  ・ 発症時の状況
  ~ はじめて体験する「痛み」 ~
発症以前から、胃部付近の不快感はあったものの、特に腹痛等は感じなかった。
ところが、1998年(平成10年))1月中旬の明け方、「左肩に突き抜けるような痛み」と「今まで体験したことのない腹痛」「言いようのない脱力・虚脱感」を自覚。
  ※ 後に、「膵炎特有の放散痛」という言葉を知る。(これがあの「左肩に突き抜けるような痛み」なのかと一人うなずく。)
縦になっても、横になっても痛みは治まらず、病院の開院時刻を待って、「自宅近くの小さな医院」で受診。採血・検尿検査の結果、医師から、
  急性膵炎の疑いがあるが、当院のような小さな病院では対応できない。
とのことで、医師の出身校である「大阪大学医学部」系列の現在の総合病院宛に「紹介状」を書いてもらい、転院。
  ※ 同年(1998年(平成10年))1月17日が、現在通院中の病院の初診日となる。
転院後、再度、採血・採尿検査の結果、「急性膵炎の疑い」と診断され、初診当日は、点滴(多分、FOYであったと思われる。)を受け、同日(1/17)は、帰宅。(内服薬の投薬は無かった。)
帰宅後も痛みは継続し、翌日以降、3日間程度、外来で点滴のみ受け、ようやく、痛みも治まり、以後、経過観察のための通院を指示される。
  ※ 当時の内服薬
「フォイパン」は投薬されず、食事後の消化を助けるための消化剤「ベリチーム」を1日3カプセル(毎食後1カプセル)のみ処方されていた。
○ 初診以降から第1回目の入院まで
その後、「腹部の鈍痛・不快感」等は、時々、感じられたものの、2~3ケ月に1回程度、通院し、定期的な検査を受けるのみで、「急性膵炎」は、次第に収束したかのように見えた。
しかし、初診から1年余りが経過した1999年(平成11年)5月、また、かつての「腹痛」が起こり、1回目の入院を経験。現在に至る。

4 入院歴 ~ 2007年(平成19年)5月現在、7回目の入院中。
  ※ 病名は、「診断書」の記載による。

○ 1回目(「慢性膵炎急性増悪」)
 1999年(平成11年)5月6日~同年6月9日(35日間)
  ※ 退院時、一日あたり、「たんぱく質80g以下、脂質35g以下」に摂取制限するよう医師から指示される。(退院前、「管理栄養士」による「個別」の「栄養指導」を受ける。)

○ 2回目(検査入院・「慢性膵炎の疑い」)
1999年(平成11年)8月3日~同年8月10日(8日間)
ERCP(逆行性膵胆管造影)検査の結果、「膵管の拡張」等も無く、異常は認められなかった。

○ 3回目(「慢性膵炎急性増悪」)
    2001年(平成13年)6月28日~同年8月2日(36日間)

○ 4回目(「慢性膵炎急性増悪」)
    2003年(平成15年)11月21日~同年12月4日(14日間)
  ※ (外来受診時)2004年(平成16年)8月29日 
  ~ 初めて、「膵石」と「膵尾部の嚢胞」の存在を指摘される。 ~
自宅療養中、症状悪化(「増悪」の「兆し」)を自覚したことにより、土曜日の診療時間外に通院して受診。
当直医がたまたま、CTの専門医であったため、精査の結果、初診(1998年(平成10年)1月17日)以来、初めて「膵石(膵の石灰化)」と「膵尾部の嚢胞」(直径約2cm大)が発見された。 (2007年5月現在も、経過観察中。)

○ 5回目(「慢性膵炎急性増悪」) ~ 「膵嚢胞」「肝嚢胞」の識別(判別)のため精査
   2005年(平成17年)11月19日~同年12月8日(20日間)
  ※ かねてから「外来」で、「膵頭部」付近に約11㎝大の「嚢胞」が認められ、経過観察していたところ、慢性膵炎の「増悪」が発症。
直ちに、緊急入院を指示される。
ほどなく、「膵炎増悪」の症状は消失したものの、「膵頭部」付近の約11㎝大の「嚢胞」について、病院保有の「エコー・CT検査機器等」では、「『膵嚢胞』」であるのか、『肝嚢胞』であるのか」が判明せず。
病院外の「レンタル」機器を借り受け、特別な「上部内視鏡」(現行の胃カメラの太いものと思われる。)を用いて、胃の中から、「膵・肝」方向に向けてエコー検査を行ったもが、それでも「膵嚢胞」「肝嚢胞」の識別が出来ず。
一時は、「11㎝大にも膨らんだ『嚢胞』」が、 右肺と胃部を圧迫し、「食事を摂るたびに胃の中に食べ物がつかえる感じ」や「深呼吸がまともに出来ないくらいの違和感」を感じる等の自覚症状が現出するまでに至ったため、一時は、「外科的な開腹手術」若しくは「胃内部からの内視鏡手術」等により、「嚢胞」から「胃」か「腸」に「ドレン」を構築し、「嚢胞」内に滞留している残存物を流出させる措置」まで検討された。 (「外科手術の同意書」を作成する寸前でした。)
しかし、最終的には、3人の医師が、エコーの検査機器の前に立ち会って、「エコー(腹部超音波)検査のベテランの医師」の精査により、「『膵嚢胞』ではなく、『肝嚢胞』である」と判明。 直ちに外科的な手術を要するものではなく、肥大・縮小化の推移を見守り、経過を観察する必要がある。」との結論に達した。
そして、入院時、「約11cm大あった肝嚢胞」は、20日後の退院前には、「約4㎝大」へと縮小し、翌年の2006年(平成18年)1月5日のエコー(腹部超音波)検査の結果で、ついに「消失」したことを確認。(外科手術を受けずに良かった!)

○ 6回目(「慢性膵炎急性増悪」)
   2007年(平成19年)2月14日~同年2月27日(14日間)
  ※ 退院時、血清アミラーゼ「250」と平常値(68)よりも、高値を示していが、「外来での経過観察」ということで、一旦、退院。
(しかし、3週間と持たず、翌月(3月)には、7回目の入院となる。)

○ 7回目(「慢性膵炎急性増悪」)
   2007年(平成19年)3月19日~同年5月9日(52日間)
  ※ 「中等度の増悪」と診断されて、エコー(腹部超音波)検査で「腹水」、CT(コンピューター断層撮影)検査で、「浮腫」等が確認され、絶食の上、FOY・ミラクリッド等の点滴治療を受ける。入院期間中、血清アミラーゼ数値が、一旦、「142」に落ち着いたものの、再度、「473」にまで跳ね上がって、不安定な状態が続き、退院前々日(5/7)の時点で「350」(平常値67の約5倍)と高い数値で横ばい状態のまま、2月の退院時と同様、再度、「外来での経過観察の継続」ということでとりあえず退院させていただきました。

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