慢性膵炎ノート

明るく!慢性膵炎生活

慢性膵炎の種類(その4)

<自己免疫性膵炎>

  日本膵臓学会では自己免疫性膵炎の診断基準を次のようにしています。


自己免疫性膵炎診断基準2002(日本膵臓学会)
1. 膵画像検査で膵管像で特徴的な主膵管狭細像を膵全体の1/3以上の範囲で認め, さらに膵腫大を認める.
2. 血液検査で高γグロブリン血症,高IgG血症,自己抗体のいずれかを認める.
3. 病理組織学的所見として膵にリンパ球,形質細胞を主とする著明な細胞浸潤と線維化を認める. 上記の1を含んで2項目以上満たす症例を自己免疫性膵炎と診断する.


  素人にはとても難しい内容ですが、1については、前半は、膵臓の中心を走っている管である主膵管が3分の1以上の範囲で細くなっているということで、さらに膵臓が腫れているということのようです。(「膵腫大」とは「膵」が「腫大」しているということです。「膵腫」が「大」なのではなく。)2については、免疫機能、つまり我々の体に本来備わっている病原菌を細胞レベルで攻撃する機能に異常をきたし、それが血液検査によって明確な場合ということです。3は膵管ではなく、膵臓の肉の部分が傷んでいるということを言っているのではないでしょうか。線維化というのは「ほぼ全ての臓器に起こりうる慢性炎症の終末像として臓器機能不全の総称」[ステリック再生医科学研究所(http://www.stelic.com/jp/develop/project.html)]ということで、本来の膵臓の仕事ができなくなっている部分ということでしょうか。自己免疫性膵炎が他の膵炎と最も違うのは、免疫異常かどうかの検査が関わっているということです。なお、2002年に作られたこの基準もその後見直しが行われれ、2009年の新しい基準では自己免疫性膵炎には可逆性がある(つまり治ることがある)ということから慢性膵炎とは別のものにしよう、ということになっています。


<腫瘤形成性膵炎>

  「腫瘤(しゅりゅう)」とは「塊(かたまり)」ということで、炎症を起こした部分にかたまりが形成されるということのようです。この腫瘤は「腫瘍(しゅよう)」である膵臓癌との識別がとても難しいようです。腫瘤自体は癌ではないのですが、腫瘤が膵頭部にできると黄疸がでることもあり放っておくわけにもいかないようです。「腫瘤形成性膵炎」をネットで検索すると、医師向けに超音波検査やCTの画像における両者の識別の難しさの例としてよく紹介されています。 実際、腫瘤なのか腫瘍なのかは手術で腹を開いてみないとわからない、ということもあるそうです。

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