慢性膵炎の診断基準(その3)
確診・準確診・早期慢性膵炎・疑診
おそらく他の病気でもそうなのだと推測されますが、慢性膵炎においても症状の度合いに応じて「確診」、「準確診」などの分類がされています。この分類は2009年の診断基準でも用いられていますが、今回新しく「早期慢性膵炎」という分類が「準確診」の下位として加わっています。さらに「早期慢性膵炎」の下位分類として「疑診例」と呼ぶ症状があります。またその他以上のどれにもあてはまらないと思われる「いわゆる慢性膵炎」という考え方も一部にあるようです。
<確診例>
2009年の診断基準では慢性膵炎の診断項目として以下の6つを挙げています。
①特徴的な画像所見
②特徴的な組織所見
③反復する上腹部痛発作
④血中または尿中膵酵素値の異常
⑤膵外分泌障害
⑥1日80g 以上(純エタノール換算)の持続する飲酒歴
慢性膵炎確診は以下のa,b いずれかの場合となっています。
a.①または②の確診所見.
b.①または②の準確診所見と,③④⑤のうち2 項目以上.
日本膵臓学会2001年の診断基準では膵石や石灰化、膵管の拡張の有無その他、かなり細かい診断基準を設けていましたが、今回の基準ではそれらは「特徴的な」という表現で置き換えられているようです。
<準確診例>
慢性膵炎準確診は先の6項目のうち、「①または②の準確診所見が認められる」場合となっています。「何かの異常があるのは間違いないが、でも確信を持って特徴とは言えないので・・・」という感じなのでしょうか。判断が難しいところではないかと想像されます。
<早期慢性膵炎>
早期慢性膵炎は、先の6項目のうち、「③~⑥のいずれか2項目以上と早期慢性膵炎の画像所見が認められる」症例ということです。「早期慢性膵炎」を定義するのに「早期慢性膵炎の画像所見」という表現があるのが素人にはよく意味がわからないところですが、準確診とのボーダーが難しそうな印象を受けます。