慢性膵炎ノート

明るく!慢性膵炎生活

慢性膵炎体験談

とみさん   (2006年7月)
 
  こんにちは、はじめまして。48歳女性、飲食業、シングルです。子ども二人いますが、成人してそれぞれに暮らしています。
  今年の3月に急性膵炎で緊急入院しました。ずっと胃が痛いと思っていました。背中も痛かったです。
  ある日を境に下痢と嘔吐を繰り返すようになり、とうとうあまりの痛みと嘔吐に恐怖を感じて自分で救急車を呼んで病院へ。
  搬送先の病院で「急性膵炎」と診断されましたが、状態がかなり悪く、手に負えなくなるかも、ということで大学病院の救急救命センターに転送され、約2週間の絶飲絶食、点滴数本、心電図、導尿、酸素吸入、胃液の吸引チューブと、まさにベッドにくくられる日々をすごしました。途中で輸血もしました。インスリンも打ちました。お腹がパンパンに張って横になることも出来ず、腰痛と発熱で毎日2-3回の痛み止めを打ってもらっていました。
  後で知ったのですが、敗血症と多臓器不全の危険があったようです。
  出産以来病気で入院なんてしたことがなく、膵臓という臓器になじみもなく、ただただ大事になってしまったことに戸惑うばかり。駆けつけた子どもたちのほうが深刻な様子でした。
  本人はずっと胃が痛い、胃が痛いと、胃の薬を飲んで酒を飲み続けていたので、「膵臓君、ごめんねー」と、痛むお腹に手をあてて「もう酒はのまないからねー」と、膵臓の機嫌をとっていました。
  痛みは取れてもお腹がパンパンなのと、血液検査での炎症の数値が下がらず、一日に何度も発熱し、一度は40度を超えて全身が震えて、わけわかんない状態。それでも二週間近くなって徐々に点滴や他のチューブがはずれ、なんとか点滴一本になって大部屋へ。食事が出るようになって2日目に一般病棟に移ったのですが、その日のうちに担当の主治医に通院治療をお願いしたら、あっさりOKになって退院しました。
  私は一人暮らしで飲食店をやって生活しているので、休業は即無収入になってしまいます。入院費は約70万円。なけなしの貯金をはたいて、三月分の家賃が足りず、カードローンで借りて払ったので、なるべく早く営業再開しないと路頭に迷う危機が迫っていました。
  5日間自宅でゆっくりして営業再開。とはいってもぽつぽつと休みを入れ、時間も短縮しての再開でした。
  3ヶ月たち、薬もべりチーム以外はジェネリックに変えてもらい、なんとか普通に生活していますが、やはり酒は良くないみたいですね。しくしくと痛みます。なので飲んでいませんが、最近食べすぎなのか、食後はお腹が張ってしまいます。揚げ物とか炒め物とかは食べないし、もともと肉を食べないので脂質の摂取にはあまり気を使っていませんが、腹八分目ができないでいます。
  病気になってから、周りに膵炎経験者が何人もいることを知りました。みんな「うそ! なんでよ?!」というくらい酒飲んでる人ばかり。しかも口をそろえて、「10年もたてば大丈夫!」と、いたってノーテンキ。
  大学病院の主治医も「まあ、酒さえ入れなければね、いいんじゃない?」と。
  脂質の摂取に関して、30グラムと聞いたんですけど、と言うと、「うちでは40グラムって指導してるハズだよ」と。
   私は朝食べないので薬を食後三回飲むとなると、三回目は夜寝る前に何か食べなくちゃならなくて、と言うと、
   「うーん、まぁ便宜上食後ってことになってるんだけど、別にすきっ腹で飲んでも平気だよー」と。
  のう胞もあって、いまはだいぶ小さくなってはいるものの、まだ硬い部分もあるし、膵官狭窄もあるんだけどこんな調子です。
  慢性膵炎は治癒しない、要するに治らないといわれても、あまり深刻になれない環境に感謝していいものやら、というところです。
  今のところは経済的な不安が大きいです。また入院するような事態になったら、あるいは別な病気を誘発したり、ましてや癌になどなったら、私には治療費がありませんし、店をたたむような事態になったらお手上げです。
  でも、切り抜けられない事態は課せられないと、美輪明宏さんや江原さんも言っていますし、実際この年まで波乱万丈ながらなんとかなってきたので、そうなんだろうな、とあまり考えないようにしています。

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