慢性膵炎ノート

明るく!慢性膵炎生活

慢性膵炎体験談

ジーターさん   (2006年2月)
 
   平成16年に慢性膵炎で2度入院しました。14年頃から鈍い痛みが消えず悩んでました。私も酒が好きでしたので、禁酒は大変つらく、宴会の時などひそかに飲んでますが、続けて飲むと、てきめんに痛くなります。
  私もいろんな病院に行ったり、市民病院で胃カメラを飲んだりしてもなかなか解りませんでした。約2年間、時には鈍く、時には鋭い痛みに耐えながら、それでも毎日お酒は飲んでいたのだから今から思えば自殺行為ですよね・・。そして一昨年の3月に、もう何も食べられず、下痢と嘔吐が続いてもうこれはアカンと思い、市民病院に担ぎ込まれました。そしてようやくCTや、MRIを撮って膵炎の疑いがあるという診断を受けました。ただあとから女房に聞いたのですが、このときはかなり危険な状態だったらしく、このまま痛みが引かず、点滴の効果もなければ、最悪の事態も覚悟しておいてくださいと言われたそうです。幸い約1週間の絶食しての点滴治療が効いて、何とかおなかの痛みも消えましたのでヨロヨロしながらも退院することになったのが3月の末でした。しかしこれは今から思えば<始まりの終わり>にすぎなかったのです。
  3月に入院中にCT撮影で肝臓に小さな腫瘍らしきものも見つかったんですが、癌の兆候及び症状はなかった為、とりあえず通院して様子を見ようということになりました。それからは私の馬鹿な証明になってしまうんですが、嫁さんに隠れて夜中にウイスキーを飲んだり、宴会やゴルフ場で酒を飲んでいました。そしてお盆の最中にまた激しい傷みで一晩中眠れず、食べたものも吐いてしまい、またもや再入院となってしまいました。先生や看護士さんには烈火のごとく怒られまして、アテネオリンピックはほとんど病院のベッドで点滴を打ちながら見てました。それでも何とか痛みが治まり、食事もできるようになった頃主治医の先生によばれました。
  膵炎にて2度目の入院中に再度CTとMRIを撮ったのですが、春よりも、肝臓にあった腫瘍が大きくなっており、もし癌であるとほっておくのは危険であり、専門の癌センターで精密検査をうけるようにという指示でした。ただし肝臓癌の人は9割以上がB型か、C型肝炎にかかっているケースが多いのですが、私はそのどちらでもないため診断がむずかしいといわれました。でも肝臓癌の疑いありと言われただけで頭の中は真っ白になりました。ただし、もし癌であっても転移はなさそうなので、切って取ってしまえばとりあえずは大丈夫ではないか、といわれたのがせめてもの救いでしたが。慢性膵炎だけでもやっかいなのに、精神的にまいりました。ただ私の場合会社を経営しており、長男もまだ大学生のため、今死ぬわけにもいかないなあ、と漠然と思ってました。そして女房とも相談のうえ自分の会社の従業員には、検査入院するけれど、もしかしたら胆石を取るかも知れないと嘘を言っておき、外部には知らせないように打合せを幹部社員としてからその年3度目の入院となりました。
  3度目の入院生活は9月の初めに始まりました。もう検査の連続でしたが、もう受けた検査を繰り返すのは本当に苦痛でした。(肉体的にも、精神的にも)しかし自分の命にかかわることですから文句もいってられないですよね。土日になると外出許可をもらって会社に顔を出したりしながらごまかす日々でしたが、勘のいい社員は普通ではないことに薄々気付いているようでしたね。でも自分のまわりは全て癌患者ばかりで、手術できる人はまだ本当に恵まれているということがわかりました。検査の結果、はっきりとは断定できないものの、限りなくクロに近いということで手術をすすめられました。同じ病棟に私を含めて全く同じ、限りなく肝臓癌の疑いがあるものの断定できない人が、驚いたことに3人もいました。女房と相談したのですが、彼女はあっけらかんとしたもので、切れば治るんだから切ってもらいなさい、と簡単にいいました。確かに将来癌化した場合取り返しのつかない可能性が高いので私も決断しました。ちなみにその3人のうちの一人は全く自覚症状もなく70歳過ぎの方でしたので、これまたあっさりと手術を拒否して退院してしまいました。
  手術前は変な気持ちでしたね。つまり<どうせ切るんだったら癌でなければ損をするような気もするし、当然ですけど癌でないという確かな検査は出来ないのだろうか?>ただ一つだけ心のよりどころは<すぐに自分の命が燃え尽きる状態ではない>という点だけでしたね。そして2004年9月28日に手術を行いました。当日は麻酔関係の注射がやや苦痛に感じただけだけで、目がさめたら意外とあっさりと終わってしまったというのが正直な感想ですね。実は私は20代のときに急性十二指腸穿孔腹膜炎で緊急手術をした経験があり、その時に比べれば医学の進歩も当然あるわけでしょうけれど、ずいぶんと術後は楽だなあと感じました。集中治療室に入っていたのが2日ぐらいだったと記憶してますし、すぐに歩きなさいと言われても最初はヨロヨロしてましたけども、じきに体力が回復してくるのが実感できました。隠しておいたタバコを隠れて吸ったときの味は格別でしたね。ただ病理検査の結果は10日ほどたたないと教えてくれないため、結局執刀医の先生に呼ばれたのは退院の2日ほど前でした。そしてドキドキしながら効いた結果は、<非常に珍しいケースですがやはり癌でした>といわれました。もし慢性膵炎で入退院を繰り返していなかったら、かなり進行してからでないとわからなかったでしょう。といわれたときは、自分が不運なのか幸運だったのか一瞬考えましたけども、<人生何が幸いするのかわからないなあ~>というのが正直な感想でしたね。ただ膵炎が治ったわけではないですし、再発癌の恐怖ともこれから一生付き合うわけですから今まで好き勝手に生きてきたツケを精算していくんだなと感じました。ただ商売柄いやいや入っていた癌保険やら生命保険等には本当に助けられました。入院費用等で約65万ほどの費用でしたが、保険関係が約200万ほど入りました。いい忘れましたけれど私は根っからのバクチ打ちでありまして、いろんなギャンブルはほとんど負けばかりなんですが生保、損保に対しては<常勝>なんですよ・・・(それがいいことなのか、悪いことなのかはべつにして)これから先は自分の人生観みたいな話になっていきますが我慢して付き合ってください。 
  その後退院してからはやはり手術後の痛みがちょくちょくありますが、半年ほどいろんな遊びも自粛してまして、暇さえあれば肝臓や膵臓の病気に関する情報を専門書を読んだり、インターネットで検索したりしてかなり専門知識も増えました。去年の春に恐る恐るゴルフコンペに参加して無事ワンラウンド回ってこれたときは本当にうれしかったですね。ただ終わった後のビールが飲めないのは本当につらかったですけどね・・・定期的に癌検診を受けてますけど、今のところ順調だそうで、40%ほど切り取った肝臓も今ではほぼ元どうりになったそうです。ただ膵炎の方は完治にはいたるはずもなく、宴会などで禁を破って飲みすぎたりすると次の日にはてきめんに腹痛や下痢などになってしまいます。そのたびにカオルさんのメールにありましたように膵臓癌の不安が心をよぎります。<白い巨塔>の中で1センチほどの膵臓の腫瘍を正義の天才内科医の<里見修二>が見つけて悪の天才外科医である主人公の<財前五郎>がオペを行い見事に成功させるというシーンがありましたけども、昭和40年代から現在にいたるまで癌の中でも膵臓癌は、たちが悪く、手術できた場合でも5年生存率は確か20%以下ではないでしょうか?いわば難攻不落の要塞みたいな病気ですよね、私も肝臓の手術の前に膵臓癌の検査もしたんですが、本当に辛くていやでしたね。何しろ睡眠剤をうってからの検査なんてはじめてでしたからね。膵臓癌も、もしダブルであればもうアカンと覚悟してましたね。結果が出るまでの不安感はもうたまらなく長かった気がしましたね。今のところ膵臓のチェックは地元の病院で毎月してはいるんですが、何か早期発見に役立つような情報でもあれば是非教えていただきたいと思います。まあこのごろ思うんですが私はこれまで十二指腸穿孔、盲腸炎、肺気胸、そして慢性膵炎、肝臓癌で5回も入院しています。昔の外科手術の出来ない時代ならとっくの昔に死んでいるわけですから今普通に生活でき、デリヘルや出会い系サイトでも遊ばせてもらったりしましたが、それらがいかにありがたいことかを実感しています。(つづく)    

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