慢性膵炎ノート

明るく!慢性膵炎生活

慢性膵炎と診断されたら(5/6ページ)

外科的治療

  薬物療法や日常生活における節制だけでは、痛みなどの症状が改善せず、日常生活すら送ることが困難な場合には、外科的処置が考慮されます。ただ、手術をするというのは、体そのものや、その後の生活に大変大きな負荷を与えることなので、手術に踏み切るべきかどうかについて慎重に判断する医療機関が多いようです。
  東北大学 肝胆膵外科・胃腸外科のホームページによりますと、外科的治療に踏み切るかどうかの基準として以下の5点を挙げています。
  
①強い頑固な腹痛が継続するもの
②膵液や胆汁の通り道である総胆管・膵管に流出障害が生じたもの
③急性膵炎発作を繰り返すもの
④仮性嚢胞や膿瘍を合併するもの
⑤膵機能荒廃が進行性で防止する必要性に迫られるもの
  
  また、手術の方法としては同大学では次の2つを実施されているとのことです。
  
①膵管減圧術
②膵切除術
  
  なお、手術の前に、膵臓がどういう状態かを見極めるために、詳しい検査が行われます。簡単な検査としては「エコー」と呼ばれる腹部超音波検査(US Ultrasound) がありますが、この検査の精度はそれほど高くなく、かなりの異常でないとはっきりとは見えないようです。しかしお腹の表面にゼリーを塗って検査をするわけですから危険性はありません。超音波検査よりさらに本格的な検査となるとその代表的なものがERCPという検査です。これは「内視鏡的逆行性胆道膵管造影法」(「ないしきょうてき ぎゃっこうせい たんどうすいかん ぞうえいほう」)というやたらと長い名前のもので、胃カメラのようなものを膵臓まで入れて調べる検査です。この器具は胃カメラと違って、レンズが進行方向ではなく横についているのでちょっと操作が難しいようです。慣れた医者ならいいのですが、あまり経験のないドクターであればちょっと遠慮した方がいいかもしれません。ベテランは別として、ドクター自身も手技の失敗(信じられない話ですが器具が内蔵を突き破るという事故も報告されています)や副作用(膵臓の入り口から器具を挿入する際に必ず膵液が膵臓内に逆流するので、炎症を起こしてしまい、悪くすると検査の際に急性膵炎になってそれが運悪く重篤化してしまうという悲劇も希にあるのです)を恐れてあまり軽々には行わないようです。

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